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【誠実性⑤】性格とは運命なのか?

前回まで。 ① ,  ② ,  ③ , ④ 誠実性が高いことで様々なメリットがあることが分かったと思いますが、では自分の性格を変えることはできるのでしょうか? 誠実性を高めたいと思った時にできることはあるのか? そう簡単に変われたら苦労しないよと思いますが、現在ではどんな研究が進められているのかを見ていきましょう! 臨床的介入は性格を変えられるか? 一つ目はPsychological Bulletinという過去の研究をまとめた論文が掲載される雑誌に2017年に掲載されたメタ分析。( 1 ) 対象となったのは1959年から2013年にかけて発表または完了した研究のうち207件でした。 その他の情報は以下の通り。 全参加者数は20,024人 女性の割合は平均63.41% 年齢は19歳〜73歳の範囲で、平均は36.04歳 大多数の研究は精神病理の治療を目的としたもの つまり健常者にも当てはまるかはわからない 結果を見ていきましょう! 全体のデータから誠実性を見てみると効果量は0.2くらい。(まぁ変わるかもしれない) 介入の変化が一時的なものかどうかも調べていて、結果を見ると1年経っても変化は持続しているようなので、長期的にも介入には効果があるかもしれない。 治療直後の平均効果:d = 0.34 治療後0~6ヶ月の追跡:d = 0.48 治療後6ヶ月~1年の追跡:d = 0.46 治療後1年以上の追跡:d = 0.37 介入法の違いについても調べており支援療法、認知行動療法、精神力動的アプローチはすべて、d = 0.38を超える効果を示していた。 さらに、介入の期間については大体4週間から6週間くらいで最も効果的と言えそう。 まとめると 誠実性は治療的な介入で上がる可能性はある 介入後1年以上経っても性格の変化は持続しうる 介入については支援療法、認知行動療法、精神力動的アプローチでどれも似たような効果がある 介入期間は4~5週間が良さそう このメタ分析は誠実性のみに焦点を当てているわけではなく、精神病にかかる人を対象にした臨床の結果なのでなんとも。 全体として性格は変えられるとは言えそうです。 自分で性格を変えたいという目標を立てるのは意味あるのか お次はあの有名なNatureが発行するCommunications Psychologyというオープンアク...

【誠実性④】真面目すぎる人が受けがちなデメリット

前回まで。 ① ,  ② , ③ 前回は誠実性がもたらすメリットについてみていきました。 どんなものも行き過ぎればあだとなるもの。 誠実性が高すぎると起きるデメリットについてもみていきましょう。 誠実性のデメリット 成果を求められるような状況でパフォーマンスが下がるかも Applied Psychologyというジャーナルに2010年に掲載された論文( 1 )。 この論文では 目標のタイプと誠実性がタスクのパフォーマンスにどう影響しているのか を調べています。 目標のタイプは以下を想定しています。 成果目標:特定の結果を目標とする 学習目標:そのタスクから得られることを目標とする 成果よりも学習に重きを置くほうが ネガティブなフィードバックからも学べる 障害や挫折を乗り越えやすい 逆に成果に重きを置くほど 失敗への懸念や不安に振り回されやすい 失敗した時に自尊心を守るためにタスクを辞めちゃう なんとなくわかる気がする。 加えて 誠実性の高い人は、目標達成に向けて努力する傾向があり、これが逆にストレスになってパフォーマンスが下がる ということがあります。 この目標のタイプ(成果か学習か)と誠実性(高いか低いか)の組み合わせによって、タスクのパフォーマンスやネガティブなフィードバックへの反応が異なるのかを調べたと。 で実験してみたところ以下ような結果が出たようです。 学習目標が与えられたとき、誠実性が高い人は誠実性が低い人よりもパフォーマンスが高くなる 成果目標が与えられたときは、誠実性が高い人の方が誠実性が低い人よりもパフォーマンスが低くなる 誠実性が高い人ほどネガティブフィードバックにストレスを感じていた なかなか面白い結果ですねぇ。 誠実性が高い人ほど学習に重きを置いて目標を立てるとよさそうです。 誠実性が高くなりすぎると仕事のパフォーマンスは下がるかも 2023年にFinancial Engineering and Risk Managementという雑誌に掲載された論文( 2 )。 この論文では誠実性(特に責任感)と仕事のパフォーマンスが逆U字の関係にあるのではないかと考えて調査を行いました。 結果としては仮説を支持するような分析結果が出たと。 つまり、 責任を強く感じすぎちゃうと逆に仕事のパフォーマンスが下がってしまう 。 何事もほどほどが大事。 セ...

【誠実性③】収入が高まる性格

前回まで。 ① , ② 前回は誠実性が遺伝で決まるのか?年齢によって変化していくものなのかをみていきました。 今回は改めて、誠実性にはどんなメリットやデメリットがあるのかみていきましょう! 誠実性のメリット 誠実性とお金 1000人分の赤ちゃんから32歳までを追跡調査したコホート研究( 1 )では、10歳までのセルフコントロール能力が大人になってからの、健康や経済的成功を予測するという結果が出ています。あくまで観察なので因果関係はわかっていません。 セルフコントロールは子供自身の報告と親や教師の観察報告で計測されたもよう。 家庭の社会階級やIQも収入などに強く関連していたようですが、セルフコントロールも独立して有意に影響を与えていたよう。 具体的には セルフコントロールが低かった人たちは32歳時点で貯金が少なく、資産形成(持ち家、投資信託など)もしていなかった さらに金銭管理の問題が多く信用トラブルもより多かった セルフコントロールは家庭の裕福さとIQよりも経済的困難さを強く予測する 次もコホート研究のデータを使用した研究( 2 )で、2015年にOxford Economic Papers に掲載されたものです。 イギリス人で赤ちゃんから30歳ごろまでの約3000人のデータを対象としています。 16歳時点の誠実性が成人になってからの収入や健康を予測できるよという結果が出ました。 具体的には 誠実性が高くなると時給が高くなっていく 貯蓄率、生活満足度が高い さらに踏み込んで誠実性の下位項目についても分析をおこなってくれています。 対象となる下位項目は 衝動制御(気を散らさず集中する) 信頼性(責任感を持って物事に取り組む) 決断力(慎重に決断を下す) 秩序性(整理整頓する) この中で賃金に有意に影響を与えていたのは衝動抑制、信頼性のようです。 ちなみに決断力は貯金に影響を強く与えているもよう。 誘惑に負けず、仕事をしっかりやる人が賃金高いのはそりゃそうだって感じですねー。 最後に2023年にEconomic Psychologyに掲載されたメタ分析を見てみましょう。( 3 ) 本論文では、個人の収入とビッグファイブの性格特性との関連について、実証研究のメタ分析的レビューを初めて提供します。 とのことで意外とまだなかったんですねぇ。 このメタ分析では、2001年から2...