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【時間的展望①】時間的展望とは何か?

時間的展望とは字の如く時間に対する人の認識のことです。 時間に対する考え方や態度について科学の世界で研究が進められています。 よりわかりやすく実践的にまとめられた本に YOUR TIME というのがありますね。 とはいえ、馴染みのない概念だと思うので時間的展望がどういったものなのかまず見ていきましょう! 時間的展望とは何か この本 の中で紹介されている定義を並べていきましょう。 ある一定時点における個人の心理学的過去、および未来についての見解の総体 Lewin. Kによる最も有名な定義。  心理学的未来や過去を現在の事態に関連づける過程  Frankによる定義。 個人の心理学的な過去・未来・現在の相互連関過程から生み出されてくる、将来目標・計画への欲求、将来目標・計画の構造、および、過去・現在・未来に対する感情 都筑による定義。 まぁ分かりづらいですが、 過去・現在・未来という時間に対して個人がどう認識しているのか というのが時間的展望と言えそうです。 過去を否定的に捉えたり、未来を肯定的に考えたりなどすることが人の行動や人生にどんな影響があるのかを調べているのですね。 時間的展望は人生に関係する? 時間に対してどう思っているかで、何か人生が変わるのでしょうか? 実際の研究を見てみましょう。 2021年にPsychological Bulletinに掲載されたメタ分析を見てみましょう( 1 )。 先行研究では時間的展望が健康、学業的成功、経済的成功などあらゆる人生の成果に関連していることが示されています。 時間的展望がこのように人生に影響を与えるメカニズムとして、研究者たちは 自己調整プロセス が関連しているのではないかと考えています。 自己調整とは、「自分自身をコントロールすること、特に望ましい基準に自分を合わせること」を意味し、人々が経験する成果において極めて重要な役割を果たします 誠実性、自制心とも被るような概念ですねぇ。   自己調整は以下のようなプロセスによって実現されているようです。 どの目標を追求するかを決定すること その目標を達成するための行動をとること 進捗をモニタリングすること 目標達成の妨げとなる誘惑や困難を退けること 合計で378本分の論文のデータを分析した結果、上記に挙げたような自己調整プロセスと時間的展望の関連...
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【誠実性⑥】誠実性を変えるためのフレームワーク

前回まで。 ① ,  ② ,  ③ ,  ④ ,  ⑤ 今回は誠実性を変える介入に的を絞った論文を見ていきましょう! Personality Disorders: Theory, Research, and Treatmentに2017年に掲載された論文( 1 )。 これはあくまで誠実性を育てるためのフレームワークの提案が内容となっていて、まだこのフレームワーク自体の検証はなされていない。 なのであくまで理論的な話としてありえるかもくらいのものです。 人間の行動は環境に左右される まずは性格と行動についての前提知識です。 たとえ誠実性が高い人でも状況によって行動は衝動的にもなりえます。 社会ゲノムモデルでは 人の行動は特性と状態によって決まる と考えています。 特性とはその人が持っている本来の性格です。 状態は瞬間ごとに現れる思考・感情・行動です。 例えば、誠実性が高いと言う特性を持っている人は、計画をちゃんと立てるという行動が多くなるでしょう。 しかしこれは必ず一貫しているわけではなくあくまで確率的なものです。 誠実性が高い人はその分、計画的だったり目標達成の努力をする確率が高いのだと。 逆に言えば人の行動(状態)を見れば特性をある程度推測できますよね。 整理整頓をちゃんとしてるなー、自分の決めた事をちゃんとやってるなーと言う人は誠実性が高いはずとわかります。 特性が状態を作るならばその逆も可能なのではないか? というのがこのフレームワークの核となります。 つまり、誠実性を上げたいのなら誠実性が高い人の行動を真似れば、そのうち特性も変化しうるのではないかと。 このstateに着目した「ボトムアップ」的アプローチは、エクササイズやスキル習得にたとえることができます。たとえば、自転車の乗り方やピアノの弾き方を繰り返し練習して長期的に身につけるように、誠実な行動を定期的に実践することが、誠実性の向上を促す可能性があるのです。 誠実性を高めるフレームワーク  誠実性を変える最良の方法は、誠実性に関連する「状態(states)」を変え、その変化を定着させ、自動的なものにすることであると私たちは考えています。 この論文では 行動活性化療法 をベースにしたモデルを提案しています。 簡単に言えば行動にフォーカスした心理療法で、日々の...

【誠実性⑤】性格とは運命なのか?

前回まで。 ① ,  ② ,  ③ , ④ 誠実性が高いことで様々なメリットがあることが分かったと思いますが、では自分の性格を変えることはできるのでしょうか? 誠実性を高めたいと思った時にできることはあるのか? そう簡単に変われたら苦労しないよと思いますが、現在ではどんな研究が進められているのかを見ていきましょう! 臨床的介入は性格を変えられるか? 一つ目はPsychological Bulletinという過去の研究をまとめた論文が掲載される雑誌に2017年に掲載されたメタ分析。( 1 ) 対象となったのは1959年から2013年にかけて発表または完了した研究のうち207件でした。 その他の情報は以下の通り。 全参加者数は20,024人 女性の割合は平均63.41% 年齢は19歳〜73歳の範囲で、平均は36.04歳 大多数の研究は精神病理の治療を目的としたもの つまり健常者にも当てはまるかはわからない 結果を見ていきましょう! 全体のデータから誠実性を見てみると効果量は0.2くらい。(まぁ変わるかもしれない) 介入の変化が一時的なものかどうかも調べていて、結果を見ると1年経っても変化は持続しているようなので、長期的にも介入には効果があるかもしれない。 治療直後の平均効果:d = 0.34 治療後0~6ヶ月の追跡:d = 0.48 治療後6ヶ月~1年の追跡:d = 0.46 治療後1年以上の追跡:d = 0.37 介入法の違いについても調べており支援療法、認知行動療法、精神力動的アプローチはすべて、d = 0.38を超える効果を示していた。 さらに、介入の期間については大体4週間から6週間くらいで最も効果的と言えそう。 まとめると 誠実性は治療的な介入で上がる可能性はある 介入後1年以上経っても性格の変化は持続しうる 介入については支援療法、認知行動療法、精神力動的アプローチでどれも似たような効果がある 介入期間は4~5週間が良さそう このメタ分析は誠実性のみに焦点を当てているわけではなく、精神病にかかる人を対象にした臨床の結果なのでなんとも。 全体として性格は変えられるとは言えそうです。 自分で性格を変えたいという目標を立てるのは意味あるのか お次はあの有名なNatureが発行するCommunications Psychologyというオープンアク...

【誠実性④】真面目すぎる人が受けがちなデメリット

前回まで。 ① ,  ② , ③ 前回は誠実性がもたらすメリットについてみていきました。 どんなものも行き過ぎればあだとなるもの。 誠実性が高すぎると起きるデメリットについてもみていきましょう。 誠実性のデメリット 成果を求められるような状況でパフォーマンスが下がるかも Applied Psychologyというジャーナルに2010年に掲載された論文( 1 )。 この論文では 目標のタイプと誠実性がタスクのパフォーマンスにどう影響しているのか を調べています。 目標のタイプは以下を想定しています。 成果目標:特定の結果を目標とする 学習目標:そのタスクから得られることを目標とする 成果よりも学習に重きを置くほうが ネガティブなフィードバックからも学べる 障害や挫折を乗り越えやすい 逆に成果に重きを置くほど 失敗への懸念や不安に振り回されやすい 失敗した時に自尊心を守るためにタスクを辞めちゃう なんとなくわかる気がする。 加えて 誠実性の高い人は、目標達成に向けて努力する傾向があり、これが逆にストレスになってパフォーマンスが下がる ということがあります。 この目標のタイプ(成果か学習か)と誠実性(高いか低いか)の組み合わせによって、タスクのパフォーマンスやネガティブなフィードバックへの反応が異なるのかを調べたと。 で実験してみたところ以下ような結果が出たようです。 学習目標が与えられたとき、誠実性が高い人は誠実性が低い人よりもパフォーマンスが高くなる 成果目標が与えられたときは、誠実性が高い人の方が誠実性が低い人よりもパフォーマンスが低くなる 誠実性が高い人ほどネガティブフィードバックにストレスを感じていた なかなか面白い結果ですねぇ。 誠実性が高い人ほど学習に重きを置いて目標を立てるとよさそうです。 誠実性が高くなりすぎると仕事のパフォーマンスは下がるかも 2023年にFinancial Engineering and Risk Managementという雑誌に掲載された論文( 2 )。 この論文では誠実性(特に責任感)と仕事のパフォーマンスが逆U字の関係にあるのではないかと考えて調査を行いました。 結果としては仮説を支持するような分析結果が出たと。 つまり、 責任を強く感じすぎちゃうと逆に仕事のパフォーマンスが下がってしまう 。 何事もほどほどが大事。 セ...

【誠実性③】収入が高まる性格

前回まで。 ① , ② 前回は誠実性が遺伝で決まるのか?年齢によって変化していくものなのかをみていきました。 今回は改めて、誠実性にはどんなメリットやデメリットがあるのかみていきましょう! 誠実性のメリット 誠実性とお金 1000人分の赤ちゃんから32歳までを追跡調査したコホート研究( 1 )では、10歳までのセルフコントロール能力が大人になってからの、健康や経済的成功を予測するという結果が出ています。あくまで観察なので因果関係はわかっていません。 セルフコントロールは子供自身の報告と親や教師の観察報告で計測されたもよう。 家庭の社会階級やIQも収入などに強く関連していたようですが、セルフコントロールも独立して有意に影響を与えていたよう。 具体的には セルフコントロールが低かった人たちは32歳時点で貯金が少なく、資産形成(持ち家、投資信託など)もしていなかった さらに金銭管理の問題が多く信用トラブルもより多かった セルフコントロールは家庭の裕福さとIQよりも経済的困難さを強く予測する 次もコホート研究のデータを使用した研究( 2 )で、2015年にOxford Economic Papers に掲載されたものです。 イギリス人で赤ちゃんから30歳ごろまでの約3000人のデータを対象としています。 16歳時点の誠実性が成人になってからの収入や健康を予測できるよという結果が出ました。 具体的には 誠実性が高くなると時給が高くなっていく 貯蓄率、生活満足度が高い さらに踏み込んで誠実性の下位項目についても分析をおこなってくれています。 対象となる下位項目は 衝動制御(気を散らさず集中する) 信頼性(責任感を持って物事に取り組む) 決断力(慎重に決断を下す) 秩序性(整理整頓する) この中で賃金に有意に影響を与えていたのは衝動抑制、信頼性のようです。 ちなみに決断力は貯金に影響を強く与えているもよう。 誘惑に負けず、仕事をしっかりやる人が賃金高いのはそりゃそうだって感じですねー。 最後に2023年にEconomic Psychologyに掲載されたメタ分析を見てみましょう。( 3 ) 本論文では、個人の収入とビッグファイブの性格特性との関連について、実証研究のメタ分析的レビューを初めて提供します。 とのことで意外とまだなかったんですねぇ。 このメタ分析では、2001年から2...

【誠実性②】誠実性はどこまで遺伝で決まる?年齢によって変化はある?

前回まで。 ① 前回は誠実性がどういったものなのか、実際のテストを見てみて理解を深めていきました。 今回は誠実性と遺伝といったとこを見ていきましょう! 誠実性は遺伝で決まる? パーソナリティと遺伝を調べた2015年のメタ分析( 1 )を見ると、ビッグ5の誠実性は31%と試算されていますね。標準誤差がまま大きいのでばらつきが大きくあまり信頼できなしなさそうです。 他の特性を見ても大体30〜50%にあるようなので、約半分かそれ以上は遺伝が関係しているのかもなーという感じですかね。 遺伝率という数値はデータ内でのばらつきを表す指標でしかないので、あまり遺伝率が高いOR低いからといってそれで決まったりするとは言えないです。 遺伝率の解説は この本 がわかりやすい。 話を戻すと誠実性を形作るには 半分以上くらいは環境が重要 ということが言えそうです。 例えば、学校の宿題を期限内に取り組むとか、定職にちゃんと就くなどの経験が性格を形作っていくわけですねぇ。 誠実性は年齢によって変わる? 年齢があがっていくにつれ、大人になり自分を制することが求められると思います。 そうなると性格も変化していくのでは? 性格は人生の中で変化するのかを調べたメタ分析( 2 )を見てみると、誠実性は年齢によって変化が起きる可能性があることが示唆されています。 特に10〜20代の間はあまり変化がなく、 30歳以降に徐々に増加していく 傾向が見られるようです。 引用: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16435954/ やはり、社会人という人生経験が誠実性を形作るのかしら。。 次回は誠実性にはどんなメリットがあるのかなど見ていきましょう!

【誠実性①】成功に必要な性格特性『誠実性』を深掘りしてみた

今回はビッグ5という性格テストにおける特性の一つ「誠実性」について現時点でわかっていることをまとめていこうと思います。 誠実性とは何か ビッグ5 を構成する特性の一つです。 ビッグ5自体は 心理学の教科書 にも出てくるような、学術での心理テストと言ったら真っ先に上がってくるポピュラーなテストです。 その分多くの研究が行われ様々なことがわかっています。 誠実性は健康や収入、対人関係などの人生の重要なアウトカムを頑健に予測し、心理的な構成概念としての勤勉性・誠実性の有用性は疑う余地がない。 引用: Big Five パーソナリティ・ハンドブック  相当太鼓判が押されていますねぇ。 詳しくみていきましょう。 誠実性を構成するもの 実際のテストの内容を見るとどういう特性かがわかりやすいので見ていきましょう! TIPI-J TIPIは効率良くビッグ5を測定するために開発された手法です。 たった10項目でビッグ5を大まかに測定可能です。 もちろん詳細なテストの方が精度は高いですが、試しにやってみるならアリではないでしょうか。 ここ とかで簡単に確認できる。 実際の質問項目が以下のような感じ。 しっかりしていて、自分に厳しいと思う。 だらしなく、うっかりしていると思う。 BFS(BigFive尺度) 1996年に開発された尺度。( 1 ) パーソナリティを形容する言葉を評価してもらうことでビッグファイブを測定するという特徴があります。 誠実性で言うと 計画性のある、勤勉な、几帳面な いい加減な、ルーズな、怠惰な、成り行き任せ、不躾な、無頓着な、軽率な、無節操、飽きっぽい のような項目を評価してもらうわけですね。 日本版NEO-PI-R 1992年に開発されたNEO-PI-Rの日本語版。( 1 ) 開発元の論文( 2 )では誠実性とは以下のようなものだと書いています。 誠実性がある人とは 几帳面、組織的、勤勉さがある人 対照的に誠実性がない人とは 怠惰、無秩序、いい加減な人 誠実性はいきすぎると強迫性パーソナリティ障害になりやすく、なさすぎると反社会性パーソナリティ障害になりやすくなるようです。 日本語版も見ていきましょう。 目標志向的行動における気構え 持久力 、動機づけを評価,頼れるより良いものを求める人とだ らしない人を対照 誠実性が高い人は しっかりした、頼りになる...